大腸内視鏡検査では大腸憩室を発見することがよくあります。憩室は若年者には少なく加齢により認められるようになり、年齢とともに徐々に増加します。憩室の多発した場合は憩室症と呼ばれます。憩室が発生する確かな原因は不明ですが、腸の動きが活発な方に見られる傾向があります。憩室症の方は排便回数やおならも多く、軟便でお腹を壊しやすい傾向があります。上行結腸とS状結腸に好発します。
憩室は体質によるところもあり、予防や増加を防ぐことは難しです。ただ、腸が活発に動きすぎ腸内の圧が高くなることが原因として考えられます。腸の動きを止めることはできませんが、憩室を悪化させないためにもできるだけ腸を刺激しないようにすることが必要と考えます。
憩室は病気ではありません。でも注意しないといけないこともあります。
憩室自体は病気ではありません。あまり気にしすぎる必要はないのですが、憩室炎という炎症を起こし、発熱を伴った強い腹痛が起きることもあります。また、いきなり出血して血便が頻回に出ることがあります。
憩室炎の症状と治療
憩室炎は突然の腹痛で始まります。かつては虫垂炎と間違われやすかったのですが、腹部CT検査などで確定診断ができるようになりました。症状が強い場合は入院で、食事を制限して抗生物質の点滴で治すことができます。しかし、炎症が非常に強い場合、憩室が穿孔して腹膜炎を起こし手術が必要なこともあります。
腹痛が繰り返すために大腸内視鏡検査を行うこともありますが、憩室炎を起こしかけていた場合などは憩室炎を悪化させてしまうこともあるため注意しないといけません。
憩室出血の症状と治療
憩室出血は突然の血便で始まります。腹痛はありませんが、下痢の時のようにお腹がぐるぐるします。専門医であれば直腸を診察することで、痔ではなく腸からの出血であることが分かります。できるだけ緊急で大腸内視鏡検査をを行い、出血部を確認しクリップなどで止血を行います。内視鏡を行ったときには止血していて出血部を確認できないことも少なくありません。その場合は入院して食事を制限し、出血しないことを確認しながら徐々に食事を始めていきます。どうしても止血しない場合や頻回に出血を繰り返す場合など、もし原因の憩室を特定できたらその部位の腸切除することも検討しなけれなりません。
憩室炎や憩室出血の予防はできますか?
確かな予防法はありません。憩室炎と憩室出血は若干違うように思います。ただ多くのケースを見てくると、飲酒との関連はありそうに思います。アルコールは腸を刺激するため蠕動が亢進し、また血流が良くなることも何らかの影響があるかもしれません。その他、基礎疾患のためプレドニンやアスピリンを内服されていたり、過食、ストレス、寝不足など不摂生なども無関係ではなさそうです。
憩室は治ることはありません。しかし増やさないためにはできるだけ腸をいたわってください。
憩室はできてしまうと無くすことはできません。それどころか年齢とともに増加します。つまり、腸は常に動いているからです。
しかし、腸の動きを止めるはできないのですが、腸が動きすぎて憩室が増えてしまうと考えると腸を刺激しないようにしていくことが大切です。これは腸の調子を整えるということに他なりません。
飲酒や過食しない、ストレス解消を心がける、睡眠時間をしっかりとる、自律神経を整える、お腹や体を冷やさないようにする、適度な運動を心がけるなどの取り組みをお勧めします。
腸の健康は体の健康に繋がります。年に1度は大腸内視鏡検査を受けていただき、ご自分の腸の状態をチェックして、日々の生活にフィードバックしていただければと思います。
大腸内視鏡検査では、単にポリープ、癌の有無だけでなく、多くの情報が得られます。それをもとに、当院では腸や体の健康を保つための取り組みを行っております。お気軽にご相談下さい。