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港北肛門クリニック 院長コラム

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日帰り手術か入院手術か?

日帰りで治せますか?よく患者さんから、質問されます。日帰り手術というと、その日に手術して次の日から普通に仕事ができるかの様な印象を与えてしまいます。
確かに、日帰り手術を行い、翌日から全く普通に仕事ができる場合もあります。しかし、病状によっては、簡単に日帰り手術のできない場合も少なくありません。

手術の内容と麻酔の方法には密接な関係があり、基本的には日帰り手術では、局所麻酔か仙骨硬膜外麻酔を行い、入院手術では、腰椎麻酔を行います。

痔核の場合、血栓性外痔核は局所麻酔による血栓除去を行いますが、極簡単な日帰り手術であり、術後は生活上の制限もなく全く普通に生活できます。内痔核や脱肛の手術では、1ヶ所の切除の場合、日帰り手術で行えることも多く、局所麻酔か仙骨硬膜外麻酔で行います。術後の痛みも少なく、手術翌日からほぼ普通に生活が可能です。
ただ、術後出血というリスクがあり、アルコールや刺激物の摂取、運動などには制限があります。
痔核が大きい場合や2ヶ所以上の手術の場合は、腰椎麻酔が最も適した麻酔です。
この場合は、入院手術となります。腰椎麻酔は、肛門を十分に弛緩させられ、バランスよく数ヶ所の切除ができ、必要かつ十分な痔核の切除が可能です。術後は、安静にすることで、痛みを抑えることができ、排便も容易になり、創の治りもよくなります。
その期間は、病状にもより、術後3-4日から8-10日まで様々です。さらに、術後2-3週間は出血のリスクがあり、先に述べた制限はしっかり守っていただく必要があります。

裂肛も、1ヶ所の切除のみであれば、日帰り手術を行います。
しかし、肛門狭窄を伴い、肛門の拡張を行わなければならない場合には、腰椎麻酔を行い、入院手術を行います。入院期間は手術の内容により異なりますが、術後は4-7日ほどです。
術後出血の危険性は、痔核手術ほどはないのですが、全くないとは言い切れませんので、制限は守っていただく必要があります。

痔瘻は、手術が絶対に必要な疾患で、確実に治さないと再発を繰り返すことになります。
最も簡単な低位筋間痔瘻の場合で、瘻管が短く、明らかに一次口と二次口のつながりが明瞭な場合は、局所麻酔や仙骨硬膜外麻酔下に、瘻管をゴムで縛ったり(シートン法)、開いたりすることもできる場合があります。この場合は、日帰り手術となります。
しかし、瘻管は、ほとんどの場合まっすぐではなく、また筋肉を貫いているため、しっかりした麻酔(腰椎麻酔)をしていないと、瘻管の走行がはっきりせず、一次口の処理が適切でなかったり、瘻管を残存させて、再発を招くことになりかねません。低位筋間痔瘻では術後7-8日、高位筋間痔瘻、坐骨直腸窩痔瘻、骨盤直腸窩痔瘻では創が深いため術後10-12日を要します。術後出血の危険性はありますので、しっかり制限を守っていただく必要があります。

手術は、短期間に、確実に治すことのできる治療法でありますが、その反面、組織にメスを入れ、切開したり、切除したりするわけですから、細心の注意を払い、慎重に行わなければなりません。
日帰り手術がすべてに行えれば、治療費も安く済み、仕事も休まずに非常にリーズナブルであるに違いありません。
しかし、肛門は狭く、また緊張のある部位であるため、痛みがあったり肛門が緊張した状態では、十分な視野を得ることができず、手術が困難となります。
確実に治癒させ、形のいい肛門にするためにも、正確な診断がなされ、麻酔と手術方法が適切に選択されることが重要なのです。


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日帰りで治せますか?よく患者さんから、質問されます。日帰り手術というと、その日に手術して次の日から普通に仕事ができるかの様な印象を与えてしまいます。
確かに、日帰り手術を行い、翌日から全く普通に仕事ができる場合もあります。しかし、病状によっては、簡単に日帰り手術のできない場合も少なくありません。

手術の内容と麻酔の方法には密接な関係があり、基本的には日帰り手術では、局所麻酔か仙骨硬膜外麻酔を行い、入院手術では、腰椎麻酔を行います。

痔核の場合、血栓性外痔核は局所麻酔による血栓除去を行いますが、極簡単な日帰り手術であり、術後は生活上の制限もなく全く普通に生活できます。内痔核や脱肛の手術では、1ヶ所の切除の場合、日帰り手術で行えることも多く、局所麻酔か仙骨硬膜外麻酔で行います。術後の痛みも少なく、手術翌日からほぼ普通に生活が可能です。
ただ、術後出血というリスクがあり、アルコールや刺激物の摂取、運動などには制限があります。
痔核が大きい場合や2ヶ所以上の手術の場合は、腰椎麻酔が最も適した麻酔です。
この場合は、入院手術となります。腰椎麻酔は、肛門を十分に弛緩させられ、バランスよく数ヶ所の切除ができ、必要かつ十分な痔核の切除が可能です。術後は、安静にすることで、痛みを抑えることができ、排便も容易になり、創の治りもよくなります。
その期間は、病状にもより、術後3-4日から8-10日まで様々です。さらに、術後2-3週間は出血のリスクがあり、先に述べた制限はしっかり守っていただく必要があります。

裂肛も、1ヶ所の切除のみであれば、日帰り手術を行います。
しかし、肛門狭窄を伴い、肛門の拡張を行わなければならない場合には、腰椎麻酔を行い、入院手術を行います。入院期間は手術の内容により異なりますが、術後は4-7日ほどです。
術後出血の危険性は、痔核手術ほどはないのですが、全くないとは言い切れませんので、制限は守っていただく必要があります。

痔瘻は、手術が絶対に必要な疾患で、確実に治さないと再発を繰り返すことになります。
最も簡単な低位筋間痔瘻の場合で、瘻管が短く、明らかに一次口と二次口のつながりが明瞭な場合は、局所麻酔や仙骨硬膜外麻酔下に、瘻管をゴムで縛ったり(シートン法)、開いたりすることもできる場合があります。この場合は、日帰り手術となります。
しかし、瘻管は、ほとんどの場合まっすぐではなく、また筋肉を貫いているため、しっかりした麻酔(腰椎麻酔)をしていないと、瘻管の走行がはっきりせず、一次口の処理が適切でなかったり、瘻管を残存させて、再発を招くことになりかねません。低位筋間痔瘻では術後7-8日、高位筋間痔瘻、坐骨直腸窩痔瘻、骨盤直腸窩痔瘻では創が深いため術後10-12日を要します。術後出血の危険性はありますので、しっかり制限を守っていただく必要があります。

手術は、短期間に、確実に治すことのできる治療法でありますが、その反面、組織にメスを入れ、切開したり、切除したりするわけですから、細心の注意を払い、慎重に行わなければなりません。
日帰り手術がすべてに行えれば、治療費も安く済み、仕事も休まずに非常にリーズナブルであるに違いありません。
しかし、肛門は狭く、また緊張のある部位であるため、痛みがあったり肛門が緊張した状態では、十分な視野を得ることができず、手術が困難となります。
確実に治癒させ、形のいい肛門にするためにも、正確な診断がなされ、麻酔と手術方法が適切に選択されることが重要なのです。


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