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食事と排便~自分の腸の性質を知る

食事は食欲という人間にとって大切な欲求を満たす行為です。
さらに、人は食事を楽しむことで、疲れをとり、生活に張りをもたせることができます。一方、食べれば出さなければならないのは、人間の生理ですから、排便は食事と表裏一体の重要な行為であるといえます。
つまり食事と排便とは別々にではなく、同じ土俵で、また同じ比重で付き合っていかなくてはなりません。
まずは、自分が便秘なのか、よく出るほうなのか、下痢をするのか、お腹はよく張るのか、ガスは多いのかなど、いろいろな症状からご自分の腸の性質を知ることが大切です。

便が出にくい、残った感じがする―便秘―食物繊維を多く摂るというように、単純にいかないこともあります。
残便感もある―ガスも多く、時に下痢をする―過敏性腸症候群といった場合は、食物繊維を多く摂ることで症状を悪化させてしまうこともあり、また下剤を使用することも勧められません。
排便習慣から、ご自分の食生活を思い切って変えてみることも必要かも知れません。

排便習慣は、普通、いつも軟便や下痢、回数も多い、便秘する、一週間に一回位、便秘と下痢を繰り返すなど様々です。
便の出の悪い方、つまり便秘の方には、3通りの型があり、症状やその対応の仕方が違うので、気をつけていただく必要があります。
腸が動かないために起こる弛緩性便秘、腸の緊張が強いために起きる痙攣性便秘、もう一つは便が直腸まで来ているのに出ない直腸性便秘です。

弛緩性便秘では、食物繊維を中心に、食事を多めにとることを心がけ、積極的に水分、油、コーヒー、アルコール、乳製品などを摂取するようにします。特に頑固な方は、朝起き抜けに冷水や冷たい牛乳などを飲まれ刺激するのも一方です。

逆に痙攣性便秘では、腸が過敏なので食べすぎに注意しなければなりません。
つまり、便による腸への刺激が強くなれば、さらに腸の緊張がたかまり、お腹が張った感じが強くなる、その割に出ないという状態に陥りやすくなります。
便通を促すような食品は腸を刺激しますので、このパターンの方はとり過ぎには注意が必要です。不溶性の食物繊維は原則少なめにされ、水溶性のペクチンなどは多めに摂取される方がいいと思われますが、食べすぎは逆効果ですから、適量にしなければなりません。

直腸性便秘は、排便を我慢したり、肛門が狭いあるいは痛いなどで出しにくかったりして、直腸に便がたまって出ない状態です。便は肛門近くまで来ているわけですから、それを取り除く必要がありますが、肛門の状態を改善し、この状態にならないように腸を刺激し腸蠕動を亢進させておく必要があります。
頻回に浣腸するのは習慣性になり、直腸性の便秘を悪化させてしまう可能性がありお勧めできません。

便の回数が多く、軟便や下痢になりやすい、下痢症の方は、腸が働きすぎる、すなわち過敏な方ですから、食べすぎに注意し、不溶性の食物繊維、水分、油、コーヒー、アルコール、乳製品などはあまりとらない様にした方がいいです。水溶性の食物繊維は適度に摂取されるのが望ましいでしょう。

便秘と下痢を繰り返すパターンもあります。これも腸の過敏な方にでる症状です。
弛緩性便秘、下痢症の場合と同様に基本的には腸を刺激しないようにします。出にくいときにはとにかく出したい、出そうとしがちですが、その反動でひどい下痢となってしまうこともあります。 }

ご自分がどの型に属するのかを把握することは大切です。
便秘と一口に言っても、食事をとる上での注意点はパターンにより違い、場合によっては正反対の事さえあります。また、大腸炎や大腸がんなどの症状のこともあり、症状が悪化する前に、一度専門医に相談されることをお勧めします。大腸内視鏡検査も食事の制限などせず、朝食のみ抜いていただき、2時間ほどの処置のあと、10~15分で終わる簡単な検査になってきました。検査だと構えることなく、受けていただきたいと思います。

食欲は人間の大切な欲求の中のひとつであり、「食事を楽しむ」ことによって、人間は欲求を満たし、さらには疲れやストレスなども取り除くことができます。食事と排便とは表裏一体であり、それぞれ日常生活の中で、重要な位置を占めています。排便習慣は、体質や精神状態などによるところもありますが、食事との関係を抜きには語ることはできません。

食事の内容や量、回数などは、個人の嗜好や仕事、生活習慣により千差万別です。
一般的にはダイエットをして食事摂取量を減らされれば便秘がちとなり、逆に仕事の後などで暴飲暴食をするような方は、下痢っぽくなりがちです。
排便習慣は常に一定ではありませんが、下痢や便秘など大まかな傾向はあります。ご自分の排便や食生活について、一度見直され、ご自分にあった楽しい食生活を送っていただきたいと思います。


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食事は食欲という人間にとって大切な欲求を満たす行為です。
さらに、人は食事を楽しむことで、疲れをとり、生活に張りをもたせることができます。一方、食べれば出さなければならないのは、人間の生理ですから、排便は食事と表裏一体の重要な行為であるといえます。
つまり食事と排便とは別々にではなく、同じ土俵で、また同じ比重で付き合っていかなくてはなりません。
まずは、自分が便秘なのか、よく出るほうなのか、下痢をするのか、お腹はよく張るのか、ガスは多いのかなど、いろいろな症状からご自分の腸の性質を知ることが大切です。

便が出にくい、残った感じがする―便秘―食物繊維を多く摂るというように、単純にいかないこともあります。
残便感もある―ガスも多く、時に下痢をする―過敏性腸症候群といった場合は、食物繊維を多く摂ることで症状を悪化させてしまうこともあり、また下剤を使用することも勧められません。
排便習慣から、ご自分の食生活を思い切って変えてみることも必要かも知れません。

排便習慣は、普通、いつも軟便や下痢、回数も多い、便秘する、一週間に一回位、便秘と下痢を繰り返すなど様々です。
便の出の悪い方、つまり便秘の方には、3通りの型があり、症状やその対応の仕方が違うので、気をつけていただく必要があります。
腸が動かないために起こる弛緩性便秘、腸の緊張が強いために起きる痙攣性便秘、もう一つは便が直腸まで来ているのに出ない直腸性便秘です。

弛緩性便秘では、食物繊維を中心に、食事を多めにとることを心がけ、積極的に水分、油、コーヒー、アルコール、乳製品などを摂取するようにします。特に頑固な方は、朝起き抜けに冷水や冷たい牛乳などを飲まれ刺激するのも一方です。

逆に痙攣性便秘では、腸が過敏なので食べすぎに注意しなければなりません。
つまり、便による腸への刺激が強くなれば、さらに腸の緊張がたかまり、お腹が張った感じが強くなる、その割に出ないという状態に陥りやすくなります。
便通を促すような食品は腸を刺激しますので、このパターンの方はとり過ぎには注意が必要です。不溶性の食物繊維は原則少なめにされ、水溶性のペクチンなどは多めに摂取される方がいいと思われますが、食べすぎは逆効果ですから、適量にしなければなりません。

直腸性便秘は、排便を我慢したり、肛門が狭いあるいは痛いなどで出しにくかったりして、直腸に便がたまって出ない状態です。便は肛門近くまで来ているわけですから、それを取り除く必要がありますが、肛門の状態を改善し、この状態にならないように腸を刺激し腸蠕動を亢進させておく必要があります。
頻回に浣腸するのは習慣性になり、直腸性の便秘を悪化させてしまう可能性がありお勧めできません。

便の回数が多く、軟便や下痢になりやすい、下痢症の方は、腸が働きすぎる、すなわち過敏な方ですから、食べすぎに注意し、不溶性の食物繊維、水分、油、コーヒー、アルコール、乳製品などはあまりとらない様にした方がいいです。水溶性の食物繊維は適度に摂取されるのが望ましいでしょう。

便秘と下痢を繰り返すパターンもあります。これも腸の過敏な方にでる症状です。
弛緩性便秘、下痢症の場合と同様に基本的には腸を刺激しないようにします。出にくいときにはとにかく出したい、出そうとしがちですが、その反動でひどい下痢となってしまうこともあります。 }

ご自分がどの型に属するのかを把握することは大切です。
便秘と一口に言っても、食事をとる上での注意点はパターンにより違い、場合によっては正反対の事さえあります。また、大腸炎や大腸がんなどの症状のこともあり、症状が悪化する前に、一度専門医に相談されることをお勧めします。大腸内視鏡検査も食事の制限などせず、朝食のみ抜いていただき、2時間ほどの処置のあと、10~15分で終わる簡単な検査になってきました。検査だと構えることなく、受けていただきたいと思います。

食欲は人間の大切な欲求の中のひとつであり、「食事を楽しむ」ことによって、人間は欲求を満たし、さらには疲れやストレスなども取り除くことができます。食事と排便とは表裏一体であり、それぞれ日常生活の中で、重要な位置を占めています。排便習慣は、体質や精神状態などによるところもありますが、食事との関係を抜きには語ることはできません。

食事の内容や量、回数などは、個人の嗜好や仕事、生活習慣により千差万別です。
一般的にはダイエットをして食事摂取量を減らされれば便秘がちとなり、逆に仕事の後などで暴飲暴食をするような方は、下痢っぽくなりがちです。
排便習慣は常に一定ではありませんが、下痢や便秘など大まかな傾向はあります。ご自分の排便や食生活について、一度見直され、ご自分にあった楽しい食生活を送っていただきたいと思います。


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